獨庵放言録

群れず流されず時代を見つめ続ける老人の、骨太で繊細な風変わりブログ!!!

音楽談義

小田純平を聴いている

外出が困難な病人高齢者は情報が乏しい。長く親しんだ旧来の生活パターンを替えるのが億劫で、知らぬ間に"時代遅れ"に陥っている場合が多いようだ。それだけ世の中との接点が限定されて、知り得た狭い視野で物事を見て判断している。最近そのことを再認識さ…

歌は世に連れ、世は歌に連れ

季節の深まりと共に高層住宅のベランダから眺める景色も彩りを増している。好天に誘われて戸外を散歩したいと思うが、進行する肺癌が容易にそれを許してくれない。妙な咳が出始めて日中も酸素吸入の助けが欠かせなくなった。嫌が応にも余命を自覚させられる…

アーチストの賞味期限

私たちは毎日の生活の中で食品の賞味期限を気にしながら暮らしている。食品の種類によって違いがあって期限通りのものもあれば、賞味期限が過ぎても美味しく食べられるものもある。中には賞味期限ギリギリか、少し過ぎたくらいがむしろ美味しいものが少なく…

本物の歌と偽物の歌

外出が出来ない重病人の高齢者は毎日様々な音楽と付き合っている。難聴の自己流リハビリを兼ねているので、漠然と聞き流すのではなく結構真剣に音と向き合っている。70年代には制作者として数多くの音楽現場に関わったので、音に対する習熟度は人並み以上と…

ipod一新

高齢者が難聴対策の一環として始めた音楽リスニングだが、難聴と一口に言っても色々ありで、高い音や低い音などの特定の周波数が聞き取り難くなる傾向が一般的のようだ。私の場合もご多分に漏れずの典型例で、耳鼻科で聴力検査を受けると高い音と低い音に加…

味気ない音楽と味覚

長雨の後の猛暑である。コロナウイルスが威力を減じずに、人間世界の懸命な努力にも関わらず相変わらず勢力を維持し続けている。旧盆が近づいて例年なら故郷への帰省や、バカンス旅行に盛り上がる時候だが、今年はすっかり様変わりの様相だ。またぞろ外出自…

歌心と時代

近年は耳に届く歌がめっきり減った。といっても歌が減少したわけではなさそうで、滅法数が減ったテレビの歌番組には賑々しく新旧の歌い手が登場する。ネットにはそれなりの情報が満載され、テレビ番組の多くには歌を歌わない歌手や漫才や落語をやらないお笑…

音楽を聴く日々に

難聴で日々弱まる聴力と音感を補うため、更には癌闘病患者としての雑念を遠ざけるため、ほぼ毎日四六時中音楽を聴いている。2組のスピーカー・システムと、同じく2組のヘッドフォンを用意して、その日のコンディションに合わせて選択しながら色々な音楽に親し…

難聴者の音楽

難聴者に音楽は存在するのかとの質問を受けそうなタイトルだが、危うい"死に損ない老人"だって音楽を聴いている。10年程度の長い時間で少しずつ進行してきた「難聴」であるが、耳鼻科の専門医の診断は「加齢による聴覚神経の衰え」である。自然現象なので誰…

高山厳「池上線」セピアの思い出

最近の歌は聴くべきものがないので、徒然に古い歌を聴いている。長いこと愛用してきたipodが、暫く放置していた間に古くなった充電池が底をついた。ついにダウンかと観念して諦めたが、"ダメ元"だと思ってパソコンにつないだら奇跡的に復活した。パソコンは…

忘れられた歌の真実

今や世を挙げて「チンドン屋の物真似」が大盛況の観が強い。"チンドン屋"と言っても若い世代の皆さんはご存じなかろうと思うが、敗戦後の焼け野原と化した街々にポツポツと店ができ始めた頃に胸と背中に大きな宣伝看板を掲げて、アコーディオンやクラリネッ…

オーディオの愉しみ今昔

古い時代にはオーディオという言葉は使われず、日本人の多くは「ステレオ」と呼んで親しんだ。高度経済成長期に入る前の時代で、その後になって続々登場したコンポや単品のオーディオ機器とは全く異なっていた。単純に2回路の真空管アンプに2個のシングルコ…

音痴の時代

この度テレビで久々にアメリカのオーケストラ、フィラデルフィア管弦楽団を視聴する機会に恵まれた。その感想を書いたので、改めて音楽とは何ぞやという重いテーマと向き合わざるを得なくなった。改めて向き合わなければならないほど、音楽という芸術から縁…

音楽を楽しむ

高齢化と共に難聴が進行して音楽と縁遠くなった。最も身近なメディアのテレビから音楽番組と呼べる類いのものが姿を消して久しい。現在放送されているのは公共放送のNHKを含めて、言ったら悪いが保育園や幼稚園児を対象にしたような、"賑やかなだけの騒音番…

フィラデルフィア管弦楽団視聴記

人間長生きすると良いことがある。思いがけずもテレビでフィラデルフィア管弦楽団を視聴する機会に恵まれた。指揮はヤニック・ネゼ・セガンで、NHK音楽祭2019で来日した時の録画だ。この日のプログラムはラフマニノフの「ピアノ協奏曲第2番」と、ドボルザーク…

去りゆく季節に

急速に秋が深まっている。細長い日本列島だから、北の地方からは雪の便りが聞かれ始めた。狭い東京地方も場所によっては銀杏が黄色く色づいている。桜や欅などの広葉樹種は、赤や茶色に変わった落ち葉が風に舞っている。他のシーズンとは趣が違う"枯葉"の季…

渡辺貞夫ニューヨーク「ブルーノート」ライブ

久々に"サダオさん"に接した。と言ってもテレビを通してのことだが、まず驚いたのが御年86歳とは到底思えない、変わらぬ風貌だった。そして何より嬉しかったのが、"サダオさん"の"サダオさん"らしい音楽性だった。ライブの最後に演奏された「花は咲く」のス…

歌の後先

私は演歌と呼ばれる歌が性に合わないらしい。主にテレビで視聴する機会があるが、最近の若い演歌歌手は揃いも揃って、"ど派手"な衣装を身につけて笑顔を振りまている。これが実に"気持ち悪い"のである。もっと言えば生理的嫌悪感を催すのである。 決して歌そ…

小田和正を聴いた

NHK-BSを録画して「小田和正18~19ツアー」を視聴した。久しぶりに眼にし、耳にした小田和正は、やはり小田和正だった。オフコース時代から変わらぬ彼がそこに居た。年輪が加わって白く変わった眉毛と、染めた髪の対比が過ぎ去った年月を物語って、紛れもない…

奇跡のハーモニー7年連続 日野市立七生緑小学校合唱団

何という素晴らしさであろうか。感動に胸が震えて言葉が出ない。自宅団地に隣接する小さな公立小学校が、NHK全国学校音楽コンクールで7年連続金賞受賞の快挙を成し遂げた。前人未踏の奇跡的記録である。若い後藤朋子指導教諭に最大限の祝辞と感謝を捧げたい…

歌は世に連れ、世は歌に連れ

「歌は世に連れ、世は歌に連れ」と昔から言われる。事ほど左様に歌は人間生活と深く関わってきた。特に大衆歌謡と呼ばれる分野は、それぞれの時代の世相を反映して人々に親しまれ、愛されてきた。戦前・戦後は長く「流行歌」と呼ばれて、文字通りの"流行り歌"…

「曼珠沙華」

細長い日本列島は南から北へと、季節毎に四季折々の花々が移ろいながら咲く。先頃まで家々の庭や公園などで見かけた真っ赤な彼岸花が終わった。秋のお彼岸が終わっても、咲き遅れの数輪が夏の名残を惜しむかのように咲いているのが見られた。「彼岸花」とい…

秋桜便り

日本の四季を代表する風景の一つ「秋桜」の季節になった。私は元来日本語に愛着と拘りが強いので、「コスモス」とは書かず必ず「秋桜」と書く。"コスモス"と書くと何やら日本の風景と違うと感じて、違和感が否めないのである。 「秋桜」には人生の転換点とな…

黄金の70年代

このタイトルを見て興味と関心をお持ちになった方は、申し訳ないが紛れもなく70歳以上の高齢者だろう。筆者自身が正真正銘の高齢者で、個人的事情から昭和45年に(1970)に東京の音楽シーンに直接関わり合うことになった人間であるからだ。当時を知る世代は年…

ジョン・コルトレーンの時代

高齢者は古いセピア色の話が多くて恐縮だ。デジタル時代の現在では、"セピア色"の意味さえご存じない若い世代がいる。遠い遠い昔日になった。その時代の名残を留めるものが少なからず手元に残っているが、その中に立花実著「ジャズへの愛着」と題されたB6版…

物思う秋の加古隆

曇り空の雲の合間から日差しがこぼれる午後は気持ちが良い。秋の陽は長い影を落とすので、いつもと違う景色が目に映る。丘の上のマンション8Fから眺める秋の午後はまるで印象派の絵のようである。薄いクリーム色の5階建て集合住宅が並ぶ向こうに、茶色の濃淡…