獨庵放言録

群れず流されず時代を見つめ続ける老人の、骨太で繊細な風変わりブログ!!!

巨大中国の不気味

 香港のデモ騒動がやむ気配がない。最早騒乱状態と言える日々を、薄笑いを浮かべて眺めている北京の習近平国家主席の胸中やいかにとの趣だ。台湾の総統選挙もそうであった。かつては"眠れる龍"と呼ばれたお隣の巨大国家が、今や「目覚めた巨龍」に変わった。毛沢東イズムの共産主義は看板だけで、中身は党幹部が権力と利権を独り占めしている。

 巨大な多民族国家一党独裁共産主義で束ねようとすること自体に無理があると思われるが、チベットの分離・独立問題などを軍事力で押さえつけている。台湾や香港も同様であろうと思われるが、今や世界第二位の経済大国に急成長して、あからさまに目に見える形での軍事力行使は国際非難を浴びるまでになった。

 香港のデモ騒動は自由主義陣営から見れば至極当然の要求なのだが、背後で糸引く中国共産党からすれば"膿みに群がるウジ虫"程度の認識だろう。すぐにでも踏み潰したいが、短兵急に手を出せば「天安門事件」の再来だと国際的な非難を浴びねばならない。大国として世界に君臨するまでにはなったが、国内外には身勝手な共産主義の運用による数多くの矛盾が露呈している。

 香港の「自由要求」を呑めば、中国国内の大学に飛び火するのは確実だ。そうなれば豊かな経済力によって海外へ留学して見聞を広めた帰国組や在学生たちの不満が、一気に巨大化して爆発するであろう。現在の中国指導部が最も恐れる事態に発展するのは目に見えている。共産主義一党独裁体制は脆くも崩壊するだろう。

 現在の東アジアに存在する国家体制は、それぞれが国内外に多くの矛盾を孕んでいる。分断された朝鮮半島北朝鮮世襲制の封建国家に逆戻りしているし、その北朝鮮との民族併合を夢見る韓国がある。最大国家中国を含めて思想や国家体制がバラバラである。それぞれに民主的国家体制が築かれているとは認め難い。

 「歴史は繰り返す」との教訓がある。お世辞にも安定しているとは言えないそれぞれの東アジア国家は、最大の脅威となっている共産主義の中国と北朝鮮が核爆弾を持つに到っている。最も矛盾に充ちた国家が、最も脅威とされる兵器を所蔵している。国際世論の誰しもが認めながら、その誰しもがどうにも出来ないジレンマに陥っている。

 香港のデモも、韓国の民族統一も、内部に同じような火種を抱えているようだ。一旦点火したらどう燃え広がるか予測するのは難しい。皮肉を言えば対岸の火事を眺めるのはある種の楽しささえある。"高みの見物"よろしく、悪口を言いながら眺めるのも一興だろう。巨大国家中国が"その気"になれば、司馬遼太郎が「坂の上の雲」に書いた「誠に小さな国」は一捻りで消滅するだろう。