獨庵放言録

群れず流されず時代を見つめ続ける老人の、骨太で繊細な風変わりブログ!!!

公明党の不思議

 再三指摘しているが、政治の世界はミステリーの宝庫であり、巣窟でもある。"一寸先は判らない"とも言われるが、誰の目にも明らかなこともある。新興宗教という呼び名が色褪せた感じの「創価学会」を母体とする政党「公明党」である。保守政治の自民党と提携して与党となって久しい。

 "既成事実"というのは恐ろしいもので、世代交代の大波が「辻褄が合わない」政党教義を"いかにも左様"と置き換えて、今やそれに不審や疑問を抱く国民が居なくなった。何が恐ろしいかと言えば、これほどの"恐ろしさ"に出合う機会はそう多くはない。ミステリアスな政治が、これまたミステリーのご本家の如き宗教と結託したのだから、その"怪しさ"は中途半端ではない。

 今の時代に「公明党」誕生の経緯や顛末を知る人は殆ど居なくなったと思うが、稀少派の生き残り組の一人として真実を真実として伝える責務を負っている。長々くどくどと自説を述べても退屈至極だろうから簡潔に要旨のみ記すに留めるが、そもそも「公明党」という政党は何を使命として我が国に誕生したかである。

 戦う新興宗教として世に登場した「創価学会」の、手荒な布教活動が社会の批判を浴びたことに対する社会活動の一環として、「平和と福祉の政党」として世にデビューした。宗教政党らしさを前面に押し出すため、弱者の側に足場を置く「政権批判」が本来の姿勢であった。母体の「創価学会」から潤沢な資金提供を受け、革新勢力を自負する他の野党と一線を画する"平和と福祉"をキャッチフレーズにした。

 確実な創価学会票を積み上げて、全候補者が当選する「創価学会選挙方式」を実現したが、学会信者を超える支持は得られず"頭打ち"状態に陥り、野党第一党にとの目論見は外れた。与党でも野党でもない中途半端さが「創価学会」内部でも批判され、やむなく他の野党と足並みを揃えたものの独自性に乏しいとの批判がつき纏った。

 細かな経緯は省くが、現在の自民党保守政権とは主義・主張ばかりか足場が全く異なっていたのである。それが何ゆえ自民党と合併したが如き現在の与党になったのかは、党内部の人でさえ納得できる説明は出来兼ねるであろうと拝察する。真偽の程は定かでないが、母体の「創価学会」内部でもかなりの批判があった由に聞き及ぶ。"水と油"が自然であるかのように"混ざり合っている"現在の様相は、これを不思議と言わずして何を不思議と言おうかの代表例である。

 背景を成す宗教的要素があるならまだしも、誰がどう考えても不思議としか言い様がない自民党との与党連合である。利権や欲得絡みの業界票を基盤とする不安定な選挙を余儀なくされている自民党にとっては、確実な票読みが出来る「創価学会票」は喉から手が出るほど欲しい安定票で、それが得られるとあらば閣僚ポストの一つ位は"安い"買い物である。

 一方の「公明党」にとってはバーター取引で得た閣僚ポストをフル活用して、自民党が提出した議案を多少「お色直し」して有権者である学会員へアピールし、併せて支持者以外の無党派層にも支持を拡げようとの思惑が見え見えだ。結党時や誕生時の信念や理想はどこへやらで、新自由主義が得意とする市場原理そのままの、節操を失った"薄汚い商取引"以外の何物でもない。

 「公明党」の母体「創価学会」は言わずと知れた仏教の日蓮正宗系宗教団体である。私自身長年伝統仏教各宗派と深く関わり合ってきた。一通りの仏教学や教義はそれぞれ学んでいる。ゆえに伝統仏教日蓮宗から数多くの新興宗教が派生した経緯や由来は、それなりに公平な目で見てきた。今ここで仏教的関わりや背景を云々するつもりは毛頭ない。

 冒頭で政治と宗教はミステリアスであると断じた。色濃い「清濁の川」が渦を巻く政治と宗教それぞれの場で、不合理が合理性を押しのける様は日常茶飯事である。珍しくはないし、今更驚く人も少なかろう。「何でもあり」は何も安倍政権の専売特許ではない。社会のあらゆる場で、"信じ難いこと"が既成事実になっているのはご存知の通りである。

 それらの"現代新常識"を以てしても、水と油の自民党公明党がべったりくっついている様子は説明がつかない。敢えて言わして貰うならば「創価学会」の仏様は、損得勘定がお得意で、利益の前には教義など有名無実だと世に証明している。損得勘定を得意として"利"に聡い仏教は他にも数多ある。「公明党」や「創価学会」に限った話では決してない。

 けれどもである。長い年月を経ているが、未だに「公明党」という政党は誠に判り難い。自民党保守政権とべったりくっついて与党だというその主張に、一体何人の人が納得しているのであろうか。それでも紛れもなく「公明党」は存在するし、国民の税金である「政党助成金」も悪びれることなく受領しているのである。誠に以てミステリーだ。