獨庵放言録

群れず流されず時代を見つめ続ける老人の、骨太で繊細な風変わりブログ!!!

安倍政権の顔ぶれ

 長いので第何次だか数えるのは止めた。いずれにせよ毎度お馴染みの安倍政権である。今次も相変わらずの"順送り"だと思っていたら、一つだけ違っていた。言わずと知れた小泉進次郎の初入閣である。長期低落傾向に歯止めが掛からなくなり、海外のドタバタ騒ぎに助けられて辛うじて命運をつないでいる観が否めなかったが、遅かれ早かれ人気回復の"切り札"として登場するであろうと予想はしていた。

 参院選が終わったこのタイミングがベストであるとは思えないが、オリンピック誘致で一躍名を馳せた滝川クリステルとの結婚発表を国会で行って国民の注目を集めた直後だけに、安倍政権の人気浮上効果は抜群であろう。これで間違いなく国民人気はアップすること請け合いである。マスコミ各社が発表する硬直化した世論調査が、実態と大きくかけ離れている事を考慮すれば実際の効果は計り知れない。

 小泉進次郎が何ゆえこれほど人気が高いのか明確に知る人は居ないだろう。実際の能力や可能性以上に、軽薄なマスコミがでっち上げた虚像であることも知られていない。父親の小泉純一郎元総理の国民的人気がそうであるように、この国のマスコミは是非もなく「スター待望」なのである。大騒ぎして"お祭り"が出来れば良いだけで、その中身については一切責任を負わない。「郵政民営化」の、その後のドタバタがそれを証明している。

 覇権を争う有力者を欠く与党自民党内で、話題性という一点だけで傑出している小泉進次郎はマスコミにとっても"最後の切り札"である。安倍政権が計算した通りに寸分の狂いもなく動くマスコミは政権のマスコットであり、どう伝え、どう書き立てるかは折り込み済みだ。公共放送NHKに右習いして、テレビ画面は小泉進次郎一色である。実際に安倍政権が浮上するか否かは即断できないが、選挙があればその効果は眼に見えるだろう。

 "順送り"のその他閣僚の動きが鈍い中で、小泉進次郎環境大臣の動きは素早い。マスコミを意識して派手に動く。来夏に迫った東京オリンピック担当大臣になった元スケート選手橋本聖子大臣と共に、小池百合子東京都知事が加われば政界の人気トリオが完成する。この"史上最強の人気トリオ"には、野党が束になって立ち向かっても歯が立つまい。その陰に隠れていれば安倍総理の「森・加計騒動」も忘れられるだろう。

 安倍総理の対抗馬が居ない与野党で、キャンキャン喚けば喚くほど安倍総理の術中に嵌まるであろう。かくして安倍政権は、終わりがないドックレースを繰り広げていれば良いだけだ。安泰どころか"超安泰"である。目出度し目出度しと思うか否かは、人それぞれだ。新旧の閣僚として国会の雛壇へ居並ぶ"安倍総理のお友達"は、言わずと知れた最強の「右翼陣」だ。

 与党自民党の新幹事長代理になった稲田朋美共々、我が国政界最強の「極右勢力」が安倍政権の内外をガッチリ固めた。凡そ存在感がない"負け犬野党"を相手に、宿願の「憲法改正」どころか南北の朝鮮半島侵略も容易くなった。北方四島を返還する気がないロシアに対しても、「日露戦争」の夢再びが実現可能になった。トランプの"腰抜けアメリカ"に代わって、世界に覇権を唱えることも夢ではないだろう。

 如何に無謀な政策を実行しようと向かうところ敵なしである。党内にいるのは戦意喪失した岸田文雄と、手足をもぎ取られて身動きできない石破茂くらいである。安倍総理の身辺を取り巻く強力な布陣に対して、余りに見窄らしくて対抗など不可能である。総理・総裁を争う気など爪の垢ほどもなく、口を開けて"棚ぼた"を待っている。

 内外の情勢を見る限り安倍晋三総理に宿敵は居ない。近未来に長く君臨する「不滅政権」になりつつある現在、この国の未来は限りなく「この道はいつか来た道」へ向かって突き進んでいる。国民はこぞって目の前の"小さな幸せ"に夢中で、スマホの小さな画面から目が離せない。明日、明後日に頬を撫でる風は、果たして暖かいだろうか。それとも肌に突き刺さって血を流す冷たい風であろうか。