獨庵放言録

群れず流されず時代を見つめ続ける老人の、骨太で繊細な風変わりブログ!!!

#小説

「セピア色の情景」余話

読者の方には申し訳ないが、老人の話は概してつまらないものが多い。古いものを指して「セピア色」という表現があるが、我流に解釈すればこれは少し美的すぎる嫌いがある。絵具のどれを探しても「セピア」という色はない。写真の分野にはセピアンカラーとい…

セピア色の情景

それはとある年の10月の出来事だった。北国津軽は季節の進行が早いが、その年は珍しく比較的温暖な日が続いてその日も暖かかった。紅葉の時期は既に過ぎて、街路樹は葉を落として遠くに見える山肌も色が変わっていた。街をゆく人の服装はすっかり秋めいて、…

秋の序章 秋子という名の女

遙かに遠い昔の話になるが、大きな瞳と整った健康的な笑顔が素敵な女が居た。まだ学生であった私は知らず知らずのうちに彼女の自宅の前を通って大学へ通うようになった。タイミング良く彼女と顔を合わす機会が多くはなかったが、それでも時折は女子高の制服…