獨庵放言録

群れず流されず時代を見つめ続ける老人の、骨太で繊細な風変わりブログ!!!

居眠り症候群

 桜が一斉に開花するこの季節は日差しが暖かい。吹く風は時折冷たいが、ガラス越しの陽光は文字通りの「春本番」だ。白や薄紅色、濃いめのピンクなど、一口に桜と言っても結構多彩で、古木あり、若木ありでその変化も楽しめる。もう一つおまけを言えば、高齢者が居る家庭や高齢者のみの世帯などでは、恒例とも言える「居眠り」が頻発する。

 うららかな陽気に恵まれた日などは、昼下がりから各所で「居眠り」が始まる。静かに動かず眠りに落ちるタイプもあれば、こっくりこっくりと舟を漕ぐタイプなど様々だが、中には豪快に"いびき"をかく端迷惑タイプもいる。十人十色で面白いと笑っていられる内はまだ良いが、豪快な"いびき"で会話が出来ず、テレビの音声も聞こえづらくなる場合もある。

 いずれのタイプであっても憎めないが、不思議なのは誰か一人が居眠りを始めると次々に連鎖反応を起こすから面白い。高齢者特有の現象らしいが、特養ホームなどの高齢者施設では一斉に始まるらしくて壮観になるという。老妻と二人だけの我が家もご多分に漏れず、どちらかが始まると何故か二人一緒になる。知らぬ間に始まって気づくと相手も同様で、顔を見合わせて照れ笑いするのがいつものことだ。

 熟睡しているか否かはその時に依るが、大抵は浅い眠りで様々な夢を見ているのが殆どのようだ。突然笑い出したり、怒り出したりする場合があるから、一人だけの場合は格好が付かないが、夫婦二人同時にであれば弁解を必要としない。多分に癖になるようで、同じ時間になると何もせずとも眠くなるようだ。

 現役世代の世帯には申し訳ないが、高齢者は身体機能が衰えているので寝ながらガスを放出することが珍しくない。胃腸器官に障害がある人などは異様に臭うので、他人迷惑が甚だしい。中には自分の臭いで目が覚めるという人もいる。悪気がなくても、憎めなくても、他人迷惑であることは否定できない。

 居眠り現象は決まって昼の時間帯で、夜の時間帯に発生することは少ない。そんな場合は決まって不眠症との因果関係が問題視される。昼間に寝過ぎると夜眠れないという人もいるが、殆どの高齢者は無制限に眠れる。俗に言う「寝ても寝ても眠い」のである。正常であるのか、異常なのかは人によって違うので、一概に結論づけるのには無理が生じる。

 概してだが男性よりも女性の方がよく眠る。女性の長寿は案外そんなところに由来するのかも知れない。我が家の連れ合いも実によく眠る。問いただすと当人は寝ていないというのだが、ニュースの時間だとテレビをつけては見ないで寝ている。どうも実際に見ているのではなく、見た気になることがテレビを見ることらしい。

 テレビの番組などどうでも良く、見るのではなく画面に色が付いて動いていればそれで良いらしい。昨今の高齢化社会でこの手の老人が増えて、道理で公共放送だという実質国営放送NHKの新会長が、実態を全くご存じない「質の高い番組の向上を図る」などという寝惚けたような発言をしても誰も取り合わない。

 視聴者はどうせ寝ているのだから、幼児や子供が喜びそうな陳腐な番組を流しておけば用足れりと現場のスタッフも「居眠り」しているのだろう。西も東も、南も北も、「1億総居眠り時代」の到来のようだ。"寝る子は育つ"と言われるが、よく寝る高齢者は長生きするのだろう。お陰で社会の迷惑も顧みない90歳や100歳の高齢者がゴロゴロいる。

 ついでに認知症症候群らしき公共放送の会長や、訳が分からない"若年性痴呆"と見做されるような政治家が国会に所狭しと居並んでいる。国会の閣僚席は格好の「居眠り天国」らしく、四六時中寝てばかりいる閣僚が何人もいる。これらの情景の中の誰が「居眠り高齢者」を笑えるだろうか。誠にこの国は"平和"である。