獨庵放言録

群れず流されず時代を見つめ続ける老人の、骨太で繊細な風変わりブログ!!!

代わり映えのしない通常国会開幕

 新年のお屠蘇気分が消えて通常国会が開幕した。与野党共に相変わらずの面々が代わり映えのしない意見を述べ合って、これまた代わり映えのしない結論に至る、誠に"代わり映えのしない"我が国の現実である。世界は水面上でも、水面下でも、それぞれの国々が色々な思惑を秘めて蠢いているが、この国だけは毎度"蚊帳の外"に置かれたままだ。

 今や「永久政権」の観がある安倍総理の説明によれば、「日米同盟」は世界の冠たる強固な関係で、これを以て世界平和に貢献するのだそうである。ゆえに我が国の任務と役割は強まりこそすれ、弱まることはないのだそうだ。この演説と説明を聞いて果たして何人の日本人が納得し、自らその重責を担おうと考えただろうか。

 世界は今否応なく高まる中国の存在感と、その不気味な思惑とに揺れている。善し悪しは別としてその中国を、今日の発展に寄与した代表国は言うまでもなく日米である。市場経済の原則を追って、安い賃金の中国へ我先にと雪崩れ込むように工場を移転した。その結果として日米の製造業は疲弊して大量の失業者が出た。

 その失業者に更に追い打ちを架けるように新自由主義経済の派遣雇用制度が導入されて、国民生活は逼迫しても企業は史上空前の利益を得る現代社会がもたらされた。富める者は益々裕福に、貧しい者はいくら努力しても報われない非情な「貧富の格差」 を生んだ。中東情勢が緊迫してもホルムズ海峡を通る我が国の船舶は、海上自衛隊を派遣して断固守るのだそうである。その船舶に日本人は乗っていない。

 どこかで何かが"ボタンを掛け違えて"はいないか。民主主義の自由社会は富裕層の利益を擁護することに熱心で、現代の共産主義もまた本質は同様であるようだ。平等をモットーにする共産主義がいつの間にか利益追求に走って、現在の中国は農山村の貧民層を切り捨てている。主義・主張や国家体制は異なっても、果てしない人間の欲望は際限なく膨張し続けている。

 小手先の陳腐な議論しか出来ない国会は、揺れ動く国際情勢から益々遠のくばかりだ。人間社会の主役は誰なのかを忘れている。巨額のリベートに目が眩み、目の前の僅かな生活が見えていない。そんな政治に何が期待できようか。政治とは何かの原点を見失った政治は「欲得のドタバタ」である。理想像には遠くても、目の前の現実に目を向けて着実に一歩を積み重ねるのが政治の役割だろう。

 国民の誰もがそっぽを向く国会中継は、唯一公共放送の面目を保つNHKのために開催されている趣が顕著である。日本相撲協会と言いながら実質はモンゴル相撲協会に等しい大相撲中継だが、負けて不利になるとすぐ休場するモンゴル横綱二人が消えて、やっと日本人力士が目立つようになった。せめて"面白くも可笑しくもない"国会中継が邪魔する野暮は、ご勘弁願いたいものである。