獨庵放言録

群れず流されず時代を見つめ続ける老人の、骨太で繊細な風変わりブログ!!!

寒い春と天気予報

 今年の春は寒い春だ。間もなくゴールデンウィークに突入しようというこの頃になっても、一向に春らしい暖かさが感じられない。温度計は時折春らしい気温を表示するが、体感的に暖かいという実感がない。これも地球温暖化の影響といってしまえばそれまでだが、地球上で最高の英知を誇る人間世界は、それに対して何らの対策を打ち出せない。

 世に「天気予報」として知られる気象学だが、何やら到ってのんびりした"間延び学問"のそしりを免れ得ない。人間社会は地球上の全生命を奪う核爆弾は開発できても、明日あさっての天気がどうであるか未だ定かに予知できない。人類が誇る科学技術も門外漢にはとても額面通りには受け取りかねる。

 天気予報というのは結構いい商売になるらしく、官庁である気象庁の他に幾つもの民間機関が誕生し存在している。最大のお得意さんはテレビ局だろうが、視聴者である国民の関心が高いのを利用して競って商売している。予知と呼ばれる学問分野は天気予報に限らず、到って無責任に騒ぎ立てて世間の関心を集めるだけで終わるものが少なくない。

 世間の皆さんは多分もうお忘れだと思うが、今から二昔以上前にしきりと取りざたされた「東海地震」が代表例だろう。政府や地方自治体が一体になって取り組みを始め、マスコミはこぞって連日のように特番や特報で囃し立てた。しかし、結果はご承知の如しである。全く目が向かない東北や九州で大災害が起きて、東海地方はピクリともしなかった。

 今やマスコミも地震学者も口を噤んで「東海地震」に触れなくなった。結果として残されたのは政府と地元自治体が推し進めた「対策事業」という名の、膨大な土木工事のみである。損得でいうのは誤解を招くが、敢えて言えば一体誰のための「東海地震」であったのか大きな疑問符がつく。多分政府・与党には「政治献金」が増えて大いに貢献したであろうが。今また「南海トラフ」という美味しい予報が目の前にある。

 今年のこの肌寒い春も、当初の気象庁の長期予報では暖かい筈であった。気温が高めの傾向が続くと発表されていた。こうまで見事に外れると、何やら少なからず胡散臭さを感じるのは私だけであろうか。現代は全てに優先して「利益至上主義」の時代だ。世の中の出来事の多くがその源泉を辿っていくと「利益」に行き着く。

 「天気予報」もご多分に漏れず、誰かの思惑と金儲けのために操作され、実態と違う結果が発表されているのではないかと疑問が湧く。「信じる者は救われる」というのは宗教の世界で使われる言葉だが、今や官製情報である筈の「天気予報」もその範疇なのであろうか。異常に暑い日や寒い日が現れると、どこかで"ほくそ笑んでいる"人が居るのかも知れないと思ってしまう昨今である。

 例え結果がどうであれ誰も謝罪せず、誰も責任を負わない。予知はあくまで予知だと主張すればそれで立派に理屈がつく。これほどウマい学問分野も少なかろう。"専門バカ"という言葉が世に存在するが、特殊分野ほど一般人には理解し難い。だからかなり適当にお茶を濁してもバレずに済む。そう思ってしまうのは「げすの勘ぐり」なのだろうか。