獨庵放言録

群れず流されず時代を見つめ続ける老人の、骨太で繊細な風変わりブログ!!!

パソコンダウンの当たり年

 人間も機械も同じように使い古せば色々なことが起きる。80歳の傘寿を目の前にした高齢者が使っている2台のパソコンは、両方共に2010年製のdellオーダーモデルである。なぜ同時期なのかはインテルCore i5 CPUが出てすぐに買い換えたせいである。当時はまだ仕事をしていたので、毎月出す小冊子の古代仏像画像と格闘していた。

 大量にある画像を毎月追加したり、入れ替えたりの作業があって、アドビのソフト「フォトショップ」「イラストレーター」や、「ページメーカー」が快適に動くことが最重要課題だった。同時に複数のソフトを稼働するため、時折バッティングが発生して苦労していた。そんな事情から救世主の如きCore i5 に飛びついて、迷うことなくパソコン2台を入れ替えた。

 以来昼夜の別なく酷使してきたので、人間同様に相当くたびれていたのは事実である。これまでデスクトップの電源部がパンクして全く使用できなくなったことはあったが、それ以外のトラブルはなく良く働いてくれた。デスクトップ、ノート共に同一仕様にしたのは、万一のトラブルに備えて困らないための工夫だった。同一仕様とは言えハードデスクの回転数が異なるので、冷却シンクがしっかりしているデスクトップはスピードが速い。

 MS-DOSの時代からオフコンやパソコンの世話になったが、往時を思えば処理スピードの改善は目を見張るほど進歩した。Windowsの登場で利用者の裾野が広がり、多様化した需要に添って便利なソフトが続々登場した。必ずしも快適とは言えないものも少なからずあったが、特別な知識がなくてもパソコンを利用できる時代になったのは大いに歓迎すべきことだろう。

 我が家のポンコツ・パソコンは仕事を引退した後も私用で働き続けて、今年早々にノートパソコンがダウンするまで快調だった。データ量が増えて重くなったので、外付けのサーバーへ移して軽くしたのが功を奏して快調に動いてくれていた。ダウンの予兆はあったがまだ大丈夫だろうと軽視していたら、数日後に完全ダウンした。

 パソコンとの長い付き合いで各種のトラブルに遭遇したが、その際の体験が生きて第一番にハードディスクを疑って交換した。メーカーへ問い合わせしても生産終了との返事で、修理には対応できないと断られた。それならば自分で部品を探して交換するまでのことで、部品さえ見つかれば至って簡単だ。

 以前にもメモリーの容量不足に対応するため部品を調達して、自分で差し替え交換した。今回もその手で行こうと決めてヤフオクを探した。中古品に混じって未使用新品も出品されており、格安値段で新品ハードデスクが入手できた。過去の経験から同一仕様であってもメーカーの違いで相性の善し悪しがあることを知っていたので、内蔵品と同一メーカーの同規格品にした。

 ハードデスクが新品になったノートパソコンは甦った。こうした事態に備えてUSBメモリー仕様の Windows 10を入手してあったので、インストールし直した。頻繁に使用するソフトのみ限定して再インストールしたので、整理された分だけダウンする前より快調になった。文字通りの"怪我の功名"である。

 同時に購入した同一仕様のパソコンなので、1台がダウンしたということはもう1台もそろそろダウンという予告になって、約半年遅れでデスクトップがダウンした。迷うことなくハードデスクの交換に踏み切り、ノートパソコン同様にまたヤフオクを探した。こちらは生憎新品の出品がなく、やむなく中古品で程度が良いものを物色した。

 落札品の送料と大差ない格安値段で入手できたので、中古品というのが気になったがフォーマット済み品なので、ノートパソコンと同じく Windows 10を再インストールした。予めリカバリー・デスクも作成してあったが、こちらも交通整理を兼ねてソフトを限定して再インストールした。

 相当数ある過去のデータは必要なものを外付けサーバーから移して作業を終えたが、蓄積された余計な"贅肉"がカットされて、2台共に動きがスムーズになった。"災い転じて福と成す"を地で行った顛末になった。その後に気がかりだったデスクトップパソコンの新品ハードデスクがヤフオクへ出たのを知り、すぐに入札して手に入れた。

 現在は交換したデスクトップパソコンの中古品のハードデスクが問題なく稼働しており、不具合が起きれば直ちに交換できる新品ハードデスクが手元にあるので、修理工房のお世話にならずとも7.8年は使い続けるのが可能になった。多分パソコンよりも使う人間の方が先にダウンしそうな、そんな気配である。

 何事も実際に経験してみるものである。その時は煩わしさや腹立たしい思いがあっても、忘れた頃にこうして役立つこともある。人生もまた然りで、無駄に思えていたことが意外に役立つことがある。年老いたポンコツの心身を甦らすのは至難だが、心と気の持ちようは自分次第だ。パソコンのように明晰な分析は出来ないが、精々負けずにオタオタしながらでも頑張ってみる価値はあるように思う。