獨庵放言録

群れず流されず時代を見つめ続ける老人の、骨太で繊細な風変わりブログ!!!

コロナ時代の自宅療養

 留まることを知らないコロナウイルスの猛威が、生活のそこかしこに現れているのは周知の事実だが、思いがけない場面にまで影響して驚いている。コロナの感染拡大とは別に、肺癌再発の重症患者は自粛要請されようとされまいと外出が出来ない。若し感染したら一週間の生存さえ危ういと医師に告げられている。

 約3年淡々と続けてきた肺癌と膵臓癌の術後検診のための通院は、コロナの影響に加えて容態悪化による「息切れ」が激しくなり医師から中止の通告を受けた。自宅から出ることなく診療が受けられる態勢が整い、否応なしに自宅へこもる生活になった。この数年は自宅で過ごす時間が圧倒的に多くなり、元々の外出自粛で特別の感慨はない。

 春夏秋冬年中自室で過ごすとなると、せめてもの慰みにと思って休眠中のミニコンポを活用することにした。ベット上で全ての操作が可能になるように配置を換え、パソコンの音源をデジタル伝送できるよう配線も変えた。iチューンのライブラリーを利用して長時間リスニングを試みたら、ミニコンポのアンプが故障していて音が出ない。

 メーカーへ問い合わせて対処法を教わったが、その通りに各種の操作を繰り返しても症状の改善は見られない。再度のメーカー問い合わせで故障の可能性が高いと判断され、検査と修理のためメーカーへ直送することになった。引き取り依頼をして一応の処理を終えた。それほど古くはないのだが、使用頻度が多いこともあり新品への代替を検討しようと、ヨドバシカメラとアマゾンの通販ページを検索した。

 今回故障した使用品と同等か、少し上のクラスの単品を探したが両通販共に在庫品がなく、超高級品以外の商品は「取り寄せ」扱いや「販売中止」になっていた。取り寄せにどのくらいの時間が必要かも確認したが、早くて今年11月かそれ以降だと言われた。量販店も事実上「開店休業」に等しい状態だという。

 自動車同様に部品メーカーの休業が続いて生産不能なのだという。海外の輸入品も全体に品薄状態で、在庫として残っている超高級品以外は即納が難しいらしい。コロナの影響は我が国ばかりではないので、欧米もまた似たような状況下にあると告げられた。何ということであろうか。伝染病の感染拡大で音楽鑑賞もままならなくなっている。

 人間の心理とは妙なもので、いつでも傍にあると思っていたものが突然違うと分かると急に愛おしくなる。何らかの事情や都合で突然会えなくなった家族や恋人のように、是非再会したいとの想いが募るのである。とは申せ商品がないものは入手できない。泣く泣く一旦断念して、テレビの補助スピーカーに使用していたアンプ内蔵の小型スピーカーをパソコンのオーディオ出力へつないだ。

 これでひとまずパソコンで音楽を聴くことは出来るようになった。超小型とはいえ2wayなので、予想以上のクォリティで音が鳴っている。この非常時ともいうべき緊急事態は贅沢を言えない。自宅を出られない高齢の癌患者は分相応にコロナウイルスへの感染の危険を回避しつつ、修理品のアンプが届くのを心待ちしながら慎ましく音楽に親しんでいる。