獨庵放言録

群れず流されず時代を見つめ続ける老人の、骨太で繊細な風変わりブログ!!!

花が招く季節

f:id:dokuan:20200229101732j:plain

f:id:dokuan:20200229101823j:plain

f:id:dokuan:20200229101857j:plain

f:id:dokuan:20200229101918j:plain

f:id:dokuan:20200229101942j:plain

 遅咲きの梅が今を盛りと咲き誇っている。2月早々に咲く早咲きの梅も良いが、何かしら季節に乗り遅れたような風情で、目立たずに咲き続ける遅咲きの梅は何故か桜を待っているようでけなげだ。人も花も同じだが、我先にと他の花や人を押しのけて世に出るものには親しみを感じない。

 人が丹精した花々は見事だが、人知れず野山やいつもの道端にそっと咲く小さな花が私は好きだ。老境で視力、聴力共に心許ないが、焦点が定まらない眼にもそれらの花は不思議に見える。「お爺さん、ここだよ」と手招きしているが如きに語りかけてくる。散歩の途中で立ち止まり、暫し佇んで小さな花に見とれる。

 如月2月が終わり、3月弥生が始まる。夜更けに高層住宅の8階ベランダに出ると、頬を撫でる風はまだ冷たいが、葉を落として枯木の森の風情の上に月が架かる。静まり返った団地の住宅群も、一つ二つと明かりが消えて月明かりに浮かび上がる。花は見えないが、暗闇の中で何かが招くような気配がする。

 スミレ、タンポポフリージアと歌に登場する花々の季節がやって来る。宝塚の少女歌劇は遠いが、心の内に描く舞台は華やかだ。誰しもの心に咲く花々に気づこう。例え苦しみに苛まれていようと、悲しみに打ち拉がれていようと、きっと心が温かくなる。現実の春は少し遠くても、私達一人一人の心に花を咲かせよう。

 「雛祭り」の華やいだ季節がもう目の前だ。心の扉を開いて春の風を招き入れよう。