獨庵放言録

群れず流されず時代を見つめ続ける老人の、骨太で繊細な風変わりブログ!!!

台風19号禍

 テレビは終日台風19号関連の情報を繰り返し報じている。電車が止まって移動手段を失った人々は、自宅に籠もってテレビを見ているしか出来ることがない。災害に強い東京も今度ばかりは例外の部類らしい。人影が消えた街に台風の前兆となる風と雨が続いている。窓を閉め切った高層住宅の8Fは、テレビのニュースがまるで他人事のように静かだ。

 当たり前に動いている人間社会のシステムが動かなくなると、悲しいかな人間生活は一変するようだ。どんなに経済成長が長期化して社会が豊かになっても、そのためにのみ血眼になって"うつつ"を抜かしてきた「カネ万能社会」でも、突然来訪する自然の威力の前には無力・無能ぶりを露呈する。

 凡人には理解不能な難しい理論で構成される「ノーベル賞」受賞の科学知識も、台風には何ら役立たない。差し迫った自然の驚異は数多くあるのに、それに立ち向かおうとする研究者は居ないらしい。凡そ人間生活との距離が遠い研究は数多くあるのに、すぐ身近な問題は殆ど放置されたままだ。「アカデミック」の名がさぞ肩身の狭い思いをしているだろうと、門外漢でも心配になる。

 人間とは想像以上に身勝手な生き物のようだ。突然いつもと違う日常に見舞われると、何をどうすべきかに戸惑う。「いつも通りの日常」がどれほど多くの人々の関わりで成り立っているのかを、改めて否応なく実感させられる。けれども"台風一過"の青空の如くに、過ぎ去ってしまえば"綺麗さっぱり"忘れ去る。

 毎日利用している電車やバスが、自分とどう繋がってどう関わり合っているかを考える人はまず居ないだろう。動くのが当然で、利用できることが当然だと誰もが思っている。誰もが盲目的に信じている「当たり前」とは何であろうか。交通機関がストップして外出が出来ない3連休だから、日頃考えることがないそんな"つまらないこと"を考えてみるのも一興である。