獨庵放言録

群れず流されず時代を見つめ続ける老人の、骨太で繊細な風変わりブログ!!!

安直だらけの時代

 世の中を見回せばどちらを向いても「安直」だらけである。まるで「安直大バーゲン」の趣だ。どうしてこうなったのかについては各論があるだろうが、理屈を捏ね回しても事態が改善されるわけではない。何らかの改善策があるとすれば、それは私たち国民が率直にその事実を認識することだろう。

 豊かで便利な時代は、同時に「労せずして巨利を得る時代」でもあるようだ。大した労働もなしに巨額の利益を手にする面々が居る一方で、正社員と同じ労働をしても何らの保障がなく、退職金もなしで期限が来ると放り出される派遣という名の労働者が大量に居る。「貧富の格差」が言われて久しいが、事態は改善するどころかより深刻化している。

 社会のありとあらゆる仕組みが利益がらみの現代社会で、道徳観や倫理観を云々しても何の役にも立たない。資産を持つものと持たざるものとのせめぎ合いはとうの昔になって、今や公然・歴然と社会全体が富裕層に奉仕させられる時代になった。遙かに遠い封建時代の「君主制」を彷彿とさせるが、民主主義の主役である国民は自分には関係ない"他人事"だとしか認識していない。

 ともかくも「今」という瞬間が大事で、先々のことは誰かが上手く処理してくれると思い込んで、将来や未来を思いやる人は殆ど居ない。「何とかなる」との安直さが社会の隅々まで浸透していて、往年植木等が牽引した「無責任時代」の社会風潮が色褪せずに復活している。代表格の政治は最早一片の良識も見当たらず、議員諸公は理念を失って腐臭を放つゴミに群がる"ゴマの蝿"やゴキブリさながらだ。

 利権が更に利権を生む社会構造に目をつぶり、世の中の表面だけをなぞってそれで良しとする恥知らずのマスコミが片棒を担ぐ右翼政権は盤石だ。圧倒的多数を有する与党自民党内で、誰一人として安倍総理に異を唱えるどころか意見を具申する者さえ居ない。そんな得にならないことよりも、「見猿・言わ猿・聞か猿」を決め込んで党役員や閣僚の椅子に有りつこうとの思惑が見え見えである。

 そんな"ゴマの蝿"やゴキブリ議員でも何故か選挙で当選する。地元との深く太い利権の地下水脈が尚更勢いを増して渦を巻いている。そんなことは先刻承知だが、それを表沙汰にするマスコミは皆無だ。いずれも権力で押さえ込まれ、"鼻薬"を効かされて押し黙っている。そればかりか少しでも"美味しいネタ"を頂戴しようと、千切れるほどに権力に尻尾を振って"じゃれついて"いる。

 この時代に「安直」で何が悪いとお叱りを受けそうだが、民主主義のルールに従えば「多数決」だから、"何でもあり"の「安直派」が今の時代の正義であり「正当」なのである。道徳観や倫理観は今や国会答弁で安倍総理の詭弁を彩る"グッズ"の一つなのだ。優秀な成績で一流と言われる大学へ進み、女と麻雀で明け暮れた末に高級官僚となった諸氏は、その知識を生かして"如何に上手な嘘をつくか"を競う。

 経済学や法学を学んだ諸君達は、如何に法の網の目をくぐり、如何に他人を手玉に取るかに神経を巡らす。利益は正当な商法で正当に労働を尽くしても得られる額は僅かだ。その上熾烈な他人との競争に勝ち抜かねばならない。そんな間尺に合わないことよりも、用意した資金で政権与党の"ゴマの蝿"やゴキブリ議員を活用すれば、労せずして法制度まで変えることが出来る。

 「桜を見る会」には大小の利権の芽が、洋服や和服で身を包んで列を成す。「モリ・カケ」は蕎麦にあらず、マグマの如き教育利権の巨大さの氷山の一角が見え隠れした。労せずして巨額の利権を駆使できる仕組みが、今や政治の最大命題である。この時代に"国家百年の計"など持ち出そうものなら、「おまえ頭は確かか?」と問われるだろう。

 「安直」な時代の安直な民主主義、並み居るイデオロギーが色褪せた現在取って代わるべきものがない。与野党内にライバル不在の安倍総理同様に、いつ果てるともなく延々と続くだろう。「正直者は馬鹿を見る」と言われた時代があった。現在がそうでないと誰が断言できようか。「連合」などという呆けて使命を忘れた組織に見切りをつけ、派遣労働者諸君大いに怒れ!!