獨庵放言録

群れず流されず時代を見つめ続ける老人の、骨太で繊細な風変わりブログ!!!

おかしな時代のおかしな「Go-To制度」

 テレビの報じるニュースを横目に見て、外出が困難な病人高齢者は考えた。資本主義の市場経済が成熟した人間社会は、何やら頻繁に奇妙な現象が出現するようだ。例え理由はどうあれ、「不要不急の旅行」と「不要不急の外食」に膨大な税金が注ぎ込まれるらしい。つい先日までは「不要不急の外出は自粛」が声高に叫ばれていた。それとは打って変わった政府と東京都の現実政策である。

 財政理論を棚上げして、兎にも角にも形振り構わず現金をバラマきたいらしい。コロナ禍で呼吸困難に陥りそうな業界を支援するという大層立派な「大義名分」が、常識や社会正義を超えて実に堂々と唱えられている。一見すると「コロナ様」を持ち出せば、「何でもあり」の様相である。我が国ばかりでなく世界中の国々で、同じような"超現実政策"が実行されているようだ。

 「コロナ様」の威力は今や向かうところ敵なしで、キリストもアッラーの神もお釈迦様もお手上げの様相だ。「コロナ様」に対峙するためには、国家ばかりか地方自治体の予算も総動員して憚らないらしい。世界一の借金大国が誰も制止せぬまま、野放し状態で"バラマき狂想曲"を奏でているようだ。21世紀に到達して人間社会が得た何とも不可思議千万な結果である。

 余生が長くはない病人高齢者にとっては無責任に言えばどうでも良いことなのだが、だからといって無為に傍観が許されるとは思えない事態だ。何が正義で正解なのか誰も分からぬ現状は、ややもすると理屈先行の頭でっかちな現代社会に強烈な一撃となった。口先ばかり達者な政治や評論の無力さを、否応なく見せつけた観がある。現実が先行して理屈が後を追うのは珍しいことではないが、これだけ"ちぐはぐ現象"が続くと笑うに笑えない。

 兎にも角にも誰彼構わず遊び歩き、飲食店で食事をすれば、その代金の大半を政府や自治体が補助するという制度だ。人間業を80年やってきたが、官公署が競って税金で遊べと奨励されたのは記憶にない。有用であろうがなかろうが、無駄金を承知で大いに浪費しまくろうとのお上のお達しである。コロナが怖いなどと言っていては時代に乗り遅れて、その大盤振る舞いの特典に置いてけぼりを食らう。

 まるで江戸時代の古典落語の世界が突然出現したような話だが、それが21世紀の今日の現実だから誠に面白い。落語の世界でもこれほど奇妙的列な展開は滅多にお目にかかれない。「赤信号みんなで渡れば怖くない」とばかりに、我先にと街へ繰り出し"飲めや食えや"の浮かれ天国に酔い痴れるべきご時世の到来だ。大いに税金を浪費して、後は"野となれ山となれ"の世界になった。

 あな恐ろしやと思うのは余生短い病人高齢者のみだろうか。