獨庵放言録

群れず流されず時代を見つめ続ける老人の、骨太で繊細な風変わりブログ!!!

「外出自粛」の様変わり

 前安倍政権が掲げた「Go Toキャンペーン」が好調のようだ。菅新政権になっても継続され、一段と規制が外されてタイミング良く折からの4連休が重なった。テレビのニュースで見る限りは、街の雑踏も行楽地の賑わいもコロナウイルス騒動が始まる前の様子と変わりがない。政府が税金で補助して遊びを奨励する妙な慣行が定着しそうだ。

 関係する飲食店や旅館・ホテルは諸手を挙げて大歓迎だろうが、税金で割引が受けられるという妙な制度に戸惑っていた国民も、周囲の賑わいを見て安心して同調している面持ちだ。「赤信号みんなで渡れば怖くない」の論理だ。何かにつけて"群れる"のがお好きな国民性が全開らしい。誰が後始末をするのか定かでない国家財政が、一段と逼迫度を強めるのだけは確実な情勢だ。

 善し悪しは兎も角として、強い政府が弱い国民や業界を助ける図のような様相だが、「何でもありのそれゆけドンドン」に今更異を唱える野暮な御仁は居るまい。一旦緩んだ規制を元に戻すのは至難の業で、誰が好き好んでその"悪役"を引き受けるだろうか。遊びを奨励する政府の制度は国民に歓迎されて、政治家は「それゆけドンドン」とばかりに同調すれば国民受けが確実だ。

 選挙の洗礼を受ける政治家は、国民受けしない不人気政策に見向きもしない。例えそれが国家を揺るがす重要政策であったとしても、選挙の際の得票に結びつかないことは無視する。立法府は元より行政機関に到っても同様で、司法とてそれらの顔色を窺いながら法の執行を判断する。政治が決めた法や制度は一旦国民の手に渡って歓迎されれば、最早ブレーキが効かなくなる。善し悪しを問わず、意思を持って"一人歩き"するのである。

 "祭りの後の倦怠感"はよく言われるが、楽しいことの後には決まって"楽しくないこと"が付いてくる。国際社会はいま国家財政の問題のみならず、コロナウイルスの感染拡大というより重い荷物を負わされている。無分別に遊び興じる状況か否かは、国民各自が「自己責任」において決断せねばならない。旗振り役の政治に後始末を期待しても、祭りの喧噪同様に実在感を得るのは凡そ難しい。