獨庵放言録

群れず流されず時代を見つめ続ける老人の、骨太で繊細な風変わりブログ!!!

祝賀御列パレードを終えて

 11月10日日曜日の東京の空は、朝から雲一つない秋晴れだった。物事の見方や言い方は様々あるが、一国民の率直な気持ちからすれば「何がお目出度いのか」良く分からない華麗なパレードであった。毎度のことだが、皇室行事に早朝から行列を為して祝福する大勢の国民がいる光景が、そもそも不思議である。

 思想的に極右でも極左でもなく、皇室に対する反感があるわけでもないのだが、国を挙げて祝福することなのだろうかとの疑念が燻る。この光景だけ抜き出して見れば、何やら明治・大正の世に逆戻りしたような観がある。まるで戦後の民主主義は占領国の置き土産で、この国の国民は本来封建君主制を望んでいるような錯覚に陥るのである。

 一国民としての率直な本音で言わして頂くならば、そもそも現天皇陛下ご夫妻は譲位された上皇様ご夫妻と異なり、皇太子殿下時代は国体や国難の場で目立つ活動が殆どなかった。ご高齢を推して各地に足を運ばれた上皇様ご夫妻のお姿は、気高く国民の目に映り心に残った。引き替えて皇太子殿下時代の現天皇陛下ご夫妻は如何であったろうか。

 上皇様の皇太子殿下時代は率先して昭和天皇の代理業務をお引き受けになり、国内外へ積極的に出向かれたのを記憶している。天皇陛下のみならず、皇后陛下に到っては「ご病気」を理由に多くの公式行事を欠席された。それらの事柄がすべて不問に付されて、晴れがましく祝福をお受けになるのは如何なるご心境であろうか。

 現在の民主主義体制下では皇室とて国民である。そのことを念頭に置けば、国事行為として国家財政で祝賀行事を行うことを素直には喜べない。無責任と有責義務があることを思えば、何やら複雑な気分である。