獨庵放言録

群れず流されず時代を見つめ続ける老人の、骨太で繊細な風変わりブログ!!!

米大統領選の民主主義

 アメリカ大統領選挙が投票日から5日になろうとしているが混沌としている。大勢は見えた観があるが、一方の候補者である現職大統領が"悪足掻き"して類例がない醜態を世界に披露している。現職大統領のテレビ会見を、アメリカの主要テレビ局は相次いで途中で打ち切った。民主主義の"本家"を自認する超大国で、異例中の異例の出来事だ。

 民主主義の根幹が選挙制度であるのは中学生でも知っている。その民主主義をもって「世界の盟主」を自他共に示してきた国で、社会を牽引する歯車が大きく狂っている。"思いつき発想"を身上とする異色の「嘘つき」大統領が誕生して、現在の状況が遅かれ早かれ訪れるであろうことは十分想像していた。

 欧米以外の国での出来事であれば、"それもあり"と世界が納得するだろう。けれどもそれが世界の最先進国となれば、誰もが目と耳を疑わざるを得ないのだ。その"通常あり得ないこと"が現実にアメリカ社会で起こったのが4年前である。「知性と良識」が光り輝くばかりだった民主主義国家アメリカに、得体が知れないマグマが胎動し始めたのを感じたものである。

 部外者として率直に言わせて貰うならば、どう見ても「超大金持ちの低脳不動産屋」としか見えない金髪のデブが、よりによって世界に君臨するアメリカの最高権力者になったのだ。信じ難いが「事実は小説よりも奇なり」で、是非を超えて受け入れざるを得ないのが世界の大勢であったろう。

 前任者のオバマ大統領に満面の作り笑顔で近づき、痛々しいほどに千切れるほど尻尾を振り続けた安倍前総理の記憶は未だ生々しいが、トランプ低脳大統領が誕生するや否や真っ先に節操なく乗り換えて、白々しい"おべっか"笑顔を振りまいた最高権力者は我が国に居る。現在の我が国はその安倍政権の継承を標榜する菅政権である。

 我が国の歴代政権は保革を問わず、同盟関係を"錦の御旗"にかつての占領国で超大国アメリカに従属してきた。何があろうと疑いなく「言いなり」になることを、国是の如く信奉してきた。簡単に言えば「従属あるのみの目くら外交」である。多少の無理はあっても「民主主義の盟主」の良識に助けられて、驚異と言われた敗戦からの復興を成し遂げた。

 是非を超えて「超べったり」の関係は我が国の"お家芸"であり、政権与党自民党に貼り付いて離れない宗教政党公明党がその代表例だ。従属するアメリカ政権が共和党であろうが、民主党であろうがお構いなしに、「核の傘」の庇護を受けるために"ベッタリ"従属するのはバイデンであっても、トランプであっても、どちらでも良いのである。

 日米共に自由と正義の民主主義を掲げている。しかし、本家アメリカを見るまでもなく、その民主主義の大義名分が激しく揺らいでいる。元々が移民で成り立つ多民族国家で、支配層の多くを占める白人層と、奴隷としての悲劇的歴史を有する黒人層の「人種差別」が深刻だった。そのアメリカがメキシコからの不法移民を閉め出すために国境に巨大な壁を作った。

 現在のトランプ政権は「アメリカンファースト」を掲げ、世界の民主主義の根幹を揺るがす政策や制度を次々実行して諸外国の反発を買っている。目の前の現実を最優先させるトランプ流である。昨日と今日の主張が違うのは珍しくなく、思いつくままに"勝手気儘"を押し通す。悪いが"おつむの程度"が疑われるのは主義・主張が見えず、"場当たり政策"を繰り返すゆえである。

 この程度の"低脳大統領"が誕生するアメリカに、本物の民主主義が存在するのかと問いたくなる。それでも民主主義の土台である選挙制度に異を唱える"低脳大統領"に、異を唱えて制止しようとするジャーナリズムが健在だ。低次元の支持者を煽る"低脳大統領"に、立ち向かう市民が居るのだ。利害を超えて人類の理想と人間愛を求める国民が居る。

 歴史に偉大な足跡を残した大統領を数多く生み出したアメリカ社会は、史上最低と言われる現職大統領を卒業して、新しい時代を迎えられるか。「嘘つき」と「ホラ吹き」が争う大統領選を見るにつけ、何やら「訳が分からない」思いが強まるばかりだ。多民族国家ゆえの防護策として用意された複雑怪奇な独自の選挙制度も、現在のアメリカを象徴するように「訳が分からない」。

 大統領選で露わになった「分断」は新しい悲劇の芽になるのか、それとも民族の違いを超えて新たな国民感情に発展するのか。いずれにしても"史上最低の大統領"が生み出した「史上最低の結果」は、善し悪しを超えて等しくアメリカ国民が負わねばならない。その余波は、べったり貼り付いた同盟国の我が国にも少なからず及ぶ。不勉強者が勢揃いする我が国国会で、学術会議のメンバーに言及している場合ではないのである。