獨庵放言録

群れず流されず時代を見つめ続ける老人の、骨太で繊細な風変わりブログ!!!

#音楽レビュー

小田純平を聴いている

外出が困難な病人高齢者は情報が乏しい。長く親しんだ旧来の生活パターンを替えるのが億劫で、知らぬ間に"時代遅れ"に陥っている場合が多いようだ。それだけ世の中との接点が限定されて、知り得た狭い視野で物事を見て判断している。最近そのことを再認識さ…

歌は世に連れ、世は歌に連れ

季節の深まりと共に高層住宅のベランダから眺める景色も彩りを増している。好天に誘われて戸外を散歩したいと思うが、進行する肺癌が容易にそれを許してくれない。妙な咳が出始めて日中も酸素吸入の助けが欠かせなくなった。嫌が応にも余命を自覚させられる…

金子由香利を聴いている

外出できない病人高齢者は日がな音楽を聴いている。とは言え難聴で片耳が万全ではなく、眼も片方がぐにゃぐにゃに見える。それでも執拗に音楽から離れない生活をしている。他人は正気の沙汰ではないというかも知れない。満足に聞こえない耳で終日ピアノ・ソナ…

吾亦紅(われ-もこう)再び

バラ科の多年草。山野に自生し、高さ60~90センチメートル。晩夏、暗紅紫色の小花を球形の花序に密生。果実も同色。若葉は食用、根は止血・収斂しゅうれん剤。漢名、地楡。秋。源氏物語(匂宮)「物げなき―などは」 [広辞苑 第七版] 秋の季語になっているが地…

詩人の秋と「レフトアローン」

「秋の日のヴィオロンの」で始まるボードレールの有名な詩を持ち出すまでもなく、秋という季節は時として人を詩人にする。歌心や詩心のあるなしに関わりなく、何故か等しく人を感傷的にするようだ。長月と呼ばれる9月はその名のように月と過ごす時間が増える…

歌手菅原洋一 普通のこと・普通でないこと

世の中には日々様々雑多な事柄が望んでも、望まなくても、遠慮会釈なく訪れる。予期せぬ幸運に恵まれることもあれば、予期せぬ不幸に見舞われて途方に暮れることもある。いずれもが当人の意思とは関わりがないので厄介である。出来得ることなら避けて通りた…

老いて尚も歌心

老いて尚も"歌心"を失わない菅原洋一に幸いあれと祈りたくなる。多分に主観的で恐縮だが、最近の歌は歌かと疑わざるを得ないものがやたらに多い。まともに最後まで聴くに耐える歌がない。その反面でどの歌い手も耳障り良く歌が上手だ。お断りするが、上手な…

黄昏のワルツ

タイトルは私がこよなく愛する音楽家の一人、加古隆のアルバムに収録されている彼のオリジナル曲の題名である。つば広の帽子を手放さない彼の後ろ姿のように、日本人ばかりでなく東アジア民族に広く共通する「そこはかとない哀愁」感が私は好きだ。加古隆は…

「NATURALLY」渡辺貞夫

長くご無沙汰し最近また聴き始めたジャズのアルバムタイトルである。NATURALISTが自然主義者を指す言葉であることから、多分同意義語であろうと思って広辞苑を調べた。意に反してNATURALLYでは検索不能で、英和辞典を調べたら「予想されていた」「思っていた…

高山厳「池上線」セピアの思い出

最近の歌は聴くべきものがないので、徒然に古い歌を聴いている。長いこと愛用してきたipodが、暫く放置していた間に古くなった充電池が底をついた。ついにダウンかと観念して諦めたが、"ダメ元"だと思ってパソコンにつないだら奇跡的に復活した。パソコンは…

歌の徒然にBORO

少し前になるがテレビで日本歌手協会の「12時間コンサート」を視聴した。とは言っても、いくら暇な高齢者でも12時間テレビの前に張り付いているわけにはいかないので、録画して後日早送りして見たい部分だけをピックアップして視聴した。善し悪しは別として…

フィラデルフィア管弦楽団視聴記

人間長生きすると良いことがある。思いがけずもテレビでフィラデルフィア管弦楽団を視聴する機会に恵まれた。指揮はヤニック・ネゼ・セガンで、NHK音楽祭2019で来日した時の録画だ。この日のプログラムはラフマニノフの「ピアノ協奏曲第2番」と、ドボルザーク…

渡辺貞夫ニューヨーク「ブルーノート」ライブ

久々に"サダオさん"に接した。と言ってもテレビを通してのことだが、まず驚いたのが御年86歳とは到底思えない、変わらぬ風貌だった。そして何より嬉しかったのが、"サダオさん"の"サダオさん"らしい音楽性だった。ライブの最後に演奏された「花は咲く」のス…

歌の後先

私は演歌と呼ばれる歌が性に合わないらしい。主にテレビで視聴する機会があるが、最近の若い演歌歌手は揃いも揃って、"ど派手"な衣装を身につけて笑顔を振りまている。これが実に"気持ち悪い"のである。もっと言えば生理的嫌悪感を催すのである。 決して歌そ…

小田和正を聴いた

NHK-BSを録画して「小田和正18~19ツアー」を視聴した。久しぶりに眼にし、耳にした小田和正は、やはり小田和正だった。オフコース時代から変わらぬ彼がそこに居た。年輪が加わって白く変わった眉毛と、染めた髪の対比が過ぎ去った年月を物語って、紛れもない…

奇跡のハーモニー7年連続 日野市立七生緑小学校合唱団

何という素晴らしさであろうか。感動に胸が震えて言葉が出ない。自宅団地に隣接する小さな公立小学校が、NHK全国学校音楽コンクールで7年連続金賞受賞の快挙を成し遂げた。前人未踏の奇跡的記録である。若い後藤朋子指導教諭に最大限の祝辞と感謝を捧げたい…

歌は世に連れ、世は歌に連れ

「歌は世に連れ、世は歌に連れ」と昔から言われる。事ほど左様に歌は人間生活と深く関わってきた。特に大衆歌謡と呼ばれる分野は、それぞれの時代の世相を反映して人々に親しまれ、愛されてきた。戦前・戦後は長く「流行歌」と呼ばれて、文字通りの"流行り歌"…

「曼珠沙華」

細長い日本列島は南から北へと、季節毎に四季折々の花々が移ろいながら咲く。先頃まで家々の庭や公園などで見かけた真っ赤な彼岸花が終わった。秋のお彼岸が終わっても、咲き遅れの数輪が夏の名残を惜しむかのように咲いているのが見られた。「彼岸花」とい…

さだまさしコンサート2019

テレビで「風に立つライオン基金2019」と銘打たれた「さだまさし」のコンサートを録画して見た。敢えて録画したのは最近の習慣で、見るに耐えない、聴くに耐えない類いのものが多いからである。録画だと不要画面を飛ばし見できるので、つまらないのを我慢せ…

物思う秋の加古隆

曇り空の雲の合間から日差しがこぼれる午後は気持ちが良い。秋の陽は長い影を落とすので、いつもと違う景色が目に映る。丘の上のマンション8Fから眺める秋の午後はまるで印象派の絵のようである。薄いクリーム色の5階建て集合住宅が並ぶ向こうに、茶色の濃淡…